Bellatrix
フルスクラッチ開発で世界大会を制したレスキューメイズ機
- RoboCupJunior 2021 レスキューメイズ部門 全国大会 優勝
- RoboCupJunior 2021 全国大会 ハードウェア奨励賞・ソフトウェア奨励賞
- RoboCupJunior 2021 世界大会 SuperTeam 優勝
- RoboCupJunior 2022 レスキューメイズ部門 全国大会 準優勝
プロジェクト概要
RoboCupJuniorレスキューメイズ部門の競技ロボットです。災害現場を模した迷路を自律走行し、熱源として配置された被災者を発見して救助キットを届けます。市販キットを一切使用しない方針で第Ⅳ世代から第Ⅹ世代まで開発を継続し、2021年に全国優勝と世界大会SuperTeam優勝、2022年に全国準優勝という成績を残しました。
開発の原点
私は幼い頃、札幌で東日本大震災を経験しました。その際に災害現場で活動するロボットの存在を知って工学に関心を抱き、中学入学後はロボット研究部でチームOrionを結成しました。当初はサッカー部門に出場していましたが、災害現場で人を救助するロボットを開発したいという当初の動機に立ち返って、レスキューメイズ部門へ転向しました。そこからBellatrixの開発が始まりました。
製作した機体
私たちは、機構も回路もソフトも全て自分たちで設計する方針を貫きました。実績のある市販キットを採用すれば容易に勝てますが、それでは設計技術が習得できません。「強いロボットより強い人間」を合言葉に、あえて迂遠な道を選択しました。
機体はAutodesk InventorでCAD設計し、レーザーカッターと3Dプリンタで製作しました。第Ⅶ世代では全幅15cm、447gまで小型化し、この機体でハードウェア奨励賞を受賞しています。基板はEagleで設計し、センサ基板からメイン基板まで自作しました。制御はSTM32のC言語で実装し、ArduinoとSTM32を併用して迷路探索とセンサフュージョンを構成しています。
機体の設計CAD
機体正面。カメラとToFセンサを搭載
競技フィールドを走行する機体
Unity上の走行シミュレーション
機体の液晶に表示した開発中のソフトウェア被災者マーカーの認識には、独自の画像認識モデルを開発しました。競技ルール上、ロボットからの外部通信は禁止されているため、推論は機体の内部で完結させる必要があります。そこで、U-Netを基にした軽量なTensorFlow Liteモデルを自作し、Raspberry Pi 4やRaspberry Pi Zeroのような小型計算機の上で推論を実行できる構成としました。この画像認識が、ソフトウェア奨励賞の受賞につながっています。
大会の結果
大会遠征時のチームOrion2021年、ロボカップジュニア・ジャパンオープンのレスキューメイズ部門で全国優勝しました。加えて、ハードウェア奨励賞とソフトウェア奨励賞も受賞しました。
RoboCupJunior Rescue Maze SuperTeam 1st Placeの賞状同年の世界大会はオンライン開催で、3か国の代表が合同チームを組み、ルール変更に3日で対応するSuperTeam形式でした。私たちは日本代表としてドイツ、ロシアのチームと組み、時差を越えて連携しながら、地球の反対側のロボットをリアルタイムに制御する仕組みを構築して優勝しました。互いに拙い英語でも、図と実装があれば意思疎通が成立するという発見は、後の海外挑戦で何度も想起することになります。
オンライン開催となった世界大会の会場翌2022年も、後継機で全国準優勝という成績を残しました。ここで培った自律走行の技術は、屋外を走行するつくばチャレンジのMintakaに継承しています。