Mintaka
つくばチャレンジ2022で高校生最年少記録を樹立した自律走行ロボット
- つくばチャレンジ2022 確認走行区間突破(高校生最年少記録)
- つくばチャレンジ シンポジウムにゲスト講演招待
プロジェクト概要
つくば市の市街地をロボットが自律走行する技術チャレンジ、つくばチャレンジに高校生チームで挑んだ屋外ロボットです。私は開発リーダーとして、機体開発から企業への協賛交渉、京都から会場までの機体輸送まで指揮し、チームは高校生として史上最年少で確認走行区間を突破しました。
挑戦の動機
Bellatrixで全国優勝と世界大会優勝を達成した後、次の目標は明確でした。整備された競技フィールドで勝てても、歩行者が行き交い天候も変化する実環境で走行できなければ、災害現場で人を救助するロボットには到達できません。高校2年の春、私は実環境自体が課題になるつくばチャレンジへの挑戦を決意し、Mintakaの開発を始動させました。
災害発生からの時間軸で整理した「3フェーズ方式」の構想機体は汎用災害支援ロボットとして構想し、モジュールを交換すれば地震にも洪水にも除雪にも対応できる構成としました。
開発した機体
自己位置推定にはGNSS-RTKとIMUを使用し、障害物検出には北陽電機のUTM-30 LiDARを搭載しました。信号認識はYOLOv5を自作のデータセットで学習させました。上位制御はPythonで記述し、クローラ式の足回りはSTM32とArduinoで駆動し、電源基板もモータドライバも自作しました。
Google Earth上の走行ルートとLiDAR点群による自己位置推定の可視化また、自分たちの学習のために、ROSはあえて一切使用しない構成にしました。既製の仕組みに依存せず、自己位置推定も経路追従も自分たちの手で実装しました。一方で操作は簡便にして、Google Earthで線を引くと、ロボットがその線を自動で追従して走行するシステムも製作しました。
LiDARとみちびきによる自己位置推定の解説
Mintakaの性能諸元
大型機体は新幹線で会場まで自ら輸送技術よりも資金に苦しみました。mm級LiDARもRTK測位サービスも、高校の部費で購入できる価格ではありません。私はあらゆる企業に連絡を取り、高校生がこれに挑む理由の説明に奔走しました。その結果、アルミフレーム付きの優秀なクローラを提供するCuborexと、当時最新設備だった、みちびきL6帯のcm級測位センサを販売するCohacをはじめ、多くの企業とサービスから支援を得ました。大型機体を京都から関東の会場へ輸送する手配まで、開発以外の業務も全て自分たちで実施しました。
結果とその後
つくばチャレンジ会場でのチームとMintaka2022年大会で、チームは高校生として史上最年少の確認走行区間突破記録を樹立しました。大学や企業の研究者が一堂に会するシンポジウムにも、ゲスト講演として招待されています。
2023年には、災害現場が真に必要としているものを確認すべく、災害現場での活動経験が豊富な防衛関係者に自ら連絡を取りました。Mintakaを基盤にした災害対応の仕組みを提案し、モジュール式の機体構成について評価を受けています。震災に端を発した取り組みを、災害対応の当事者に届ける段階まで実現できました。
実験室での開発・デバッグ風景Mintakaが残したものは、自己位置推定やLiDARといった技術だけではありません。資金が不足していれば自ら企業へ説得に出向く行動力や、輸送まで含めた計画立案と大所帯の進行管理、実環境での破損と修復を繰り返す検証の手法まで、開発プロジェクトの運営を一通り習得しました。これらは現在の会社経営と製品開発に、そのまま直結しています。